チャンペン・ジャオ

取引所トークンの発行を軸に BNB Chain を立ち上げた

積み重ね可能な目標

暗号資産取引のインフラ作成

大胆で非連続的な変化

BNB Chainの立ち上げ

Resourcefulness

BNBトークン発行

背景

2010 年代後半、暗号資産の売買は中央集権型取引所(CEX)に集中しつつ、オンチェーンの送金・DeFi・トークン発行も並行して広がっていた。取引所は板とカストディを提供する一方、ブロックチェーンそのもののスループット、手数料、開発者向けツールは別レイヤーの問題だった。イーサリアムなど既存チェーンは混雑とガス代の上昇が目立ち、取引所利用者のオンチェーン行動とオフチェーンの板を同じ生態系でつなぐ設計はまだ少ない。

チャンペン・ジャオ(CZ)が率いる Binance は、2017 年前後にグローバルな現物・先物取引のインフラを急速に広げた。取引所単体の手数料収入に加え、ユーザーがチェーン上でアプリや資産を動かす先を自社エコシステム内に持つことが、流動性とプロダクトの次の段階になった。その文脈で、取引所ブランドと連動するスマートコントラクトチェーン(のちの BNB Chain/Binance Smart Chain 系)の立ち上げが位置づけられる。

制約・常識

当時の常識は、取引所は注文マッチングとカストディの事業者であり、L1/サイドチェーンの運用主体は別組織・別コミュニティが担う、という分業だった。チェーンを自前で立てるにはバリデータ、ガス経済、EVM 互換性、ブリッジ、開発者ドキュメント、初期 dApp の誘致が同時に要る。規制・セキュリティ・「中央集権的ではないか」という批判も付きまとう。

制約は資本だけでなく時間と信頼性にある。既存の高負荷チェーンにただ乗るだけでは、手数料と混雑をユーザー体験として抱えたままになる。一方、ゼロから完全独自 VM を作ると開発者獲得が遅れる。取引所のユーザー基盤はあるが、それをオンチェーン利用に転換するインセンティブ設計がなければ、チェーンは空転する。

非連続な一手

非連続な一手は、取引所事業の延長として BNB Chain(当時の Binance Smart Chain を含む系譜)を立ち上げ、EVM 互換の実行環境と低い手数料・高いスループットを取引所エコシステムに直結させたことである。板の外側でユーザーがスワップ、流動性提供、トークン発行を行える先を、自社が設計・推進するチェーン上に置いた。

2020 年前後にメインネット相当の利用が広がり、取引所の入出金・プロダクト連携・開発者向けツールと組み合わさることで、「取引は CEX、その先のオンチェーン活動も同じブランド圏」という導線ができた。単なるマーケティング用チェーンではなく、手数料・性能・互換性を取引所利用者の実務に合わせた点が、既存の汎用 L1 への完全依存から一歩外へ出る変化だった。

どう Resourcefulness が現れたか

Resourcefulness は、チェーン起動の前段から BNB トークンを発行し、取引所の手数料割引・バーン・生態系のネイティブ資産として流通させていた点にある。チェーンをゼロから宣伝するのではなく、すでに取引所ユーザーが保有・利用するトークンをガスやインセンティブの中核に据えることで、需要の種を事前にばらまいていた。

トークン発行は資金調達や投機の話に回収されやすいが、ここでは「チェーンを動かす経済単位」と「取引所プロダクトのロイヤルティ単位」を同じシンボルに束ねた資源の使い方として機能した。新規チェーンに必要な初期流動性、バリデータ/ステークのインセンティブ、ユーザーの関心を、外部の無関係なネイティブ資産に頼らず、取引所が既に流通させていた BNB に接続した。限られた信用と注意を、板・トークン・チェーンの三層で再利用したのがこの一手である。

積み重ね可能な目標との接続

「暗号資産取引のインフラ作成」は、一度の上場や一回のキャンペーンでは終わらない。板、カストディ、入出金、先物、そしてオンチェーン実行環境までが揃うほど、ユーザーの資産と行動が同じ生態系に留まり、次のプロダクトを積み上げやすくなる。

エピソードとしては、BNB Chain の立ち上げが、取引所を「マッチングエンジンだけの会社」から「取引とオンチェーン実行をまたぐインフラ」へ広げる局面である。BNB トークン発行は、そのインフラのガス・手数料・インセンティブを自前の単位で回すための先行投資であり、積み重ね可能な目標に対する資源の再配置として読める。以降のチェーン改良や dApp 誘致も、同じ目標への層の追加として位置づけられる。

参考: https://www.bnbchain.org/en/blog

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